アパレルと環境問題の、意外な関係性

深海魚ファッションブランドLavca.mです。

当ブランドはスタートしてまだ間もないですが、おかげさまで着々と取扱商品が増えてまいりました。

お洋服というのはお客様の肌に直接触れるものですし、Lavca.mではお子様用の商品にも力を入れている以上、お子様のことも注意深く考えながら商品開発をしております。

例えばプリントTシャツの場合、生地選びに始まり、使用するインクやプリント方法に至るまでとことんこだわって考えております。
通気性が悪いインクを使用してしまうとお子様の汗疹の原因となったり、汗で濡れたままなかなか乾かずに寒くなってしまったりと、着てくださるご本人に影響します。

特にそんなことに気を使わずに安く仕上げようと思えばもっと安くできるのですが、お客様に商品をお届けする以上、「もう一度着たい」「他のものも欲しい」と思っていただけるような、胸を張れる商品を作っていきたいと考えています。

こうした「お客様ファースト」の商品づくりは当然のことながら、Lavca.mでは深海魚という海洋生物を扱う以上、海をはじめとした環境保護にも着目しています。

そこで今回は環境と資源について、少しお話しさせていただこうと思います。

プラスチックと海洋汚染

プラスチックと海洋汚染と聞くと、海に浮かんだペットボトルや鼻にストローが刺さったウミガメの映像などが頭に浮かぶと言うかたもいらっしゃるのではないでしょうか。

環境省の漂着ゴミモニタリング調査結果によると、海洋プラスチック汚染の内訳は漁網ロープが高い割合を占めていて、個数ベースでは飲料用ボトルが多くなっています。同調査結果によるとポリ袋は全体の1%未満となっています。

と言うことは、漁網やロープが主たる原因であって、私たちの生活から出るプラスチックはごく一部なのではないか・・・? ーいいえ、きっと違います。

 “毎年数万トンのプラスチックが海へ流れ込んでいるはずだが、実際に見つかる量は1%にも満たない。99%以上のプラスチックが海で消えている。原因は、沿岸に堆積している、ナノサイズに小さくなっているなど、さまざま考えられる。
 プランクトンサイズのプラスチックを、海洋生物が食べてしまっている可能性も高い。マイクロプラスチックは汚染物質を吸着するため、食物連鎖を通してわれわれの健康に影響を及ぼす可能性もある。”

[北海道新聞(2019年1月23日 19面) 中川聡・京都大大学院農学研究員准教授(微生物生態学)]

 冒頭に記したような、海の上に浮かぶ大量のペットボトルやストローが刺さったウミガメなど物理的な影響もさることながら、海の中に細かく溶け込んでいるプラスチックも生態系に影響を与えていることが推測できます。

 プラスチックにまつわる海洋汚染については数多くの研究やデータが発表されていて、それぞれの説や理論があるので日々議論されているところです。

 今回はこのプランクトンサイズのプラスチック(マイクロプラスチック)が海洋汚染に強く関連していると仮定して話を進めていきます。

洋服を洗うたびにマイクロプラスチックを排水している?

 一説では、洗濯機を使用した1回の洗濯(6kgを想定)で70万本のマイクロファイバーが下水へと流れると言われます。[出典:Marine Biology and Ecology Research Centre (MBERC), School of Marine Science and Engineering, Plymouth University, Drake Circus, Plymouth, Devon, PL4 8AA, England]

 このマイクロファイバーはとっても小さいので、下水処理場でも完全には除去しきれず、海へ流されていく場合があると考えられています。

 また下水処理場をすり抜けてきた繊維は,ポリエステル(67%)アクリル(17%)ナイロン(16%)で主に構成されており,この割合は処理場の近くの海岸で見られる繊維とほぼ同じだったと報告されています。[出典:Accumulation of Microplastic on Shorelines Woldwide: Sources and Sinks,Environmental Science & Technology, American Chemical Society, Mark Anthony Browne, Phillip Crump, Stewart J. Niven, et al]

 すなわち私たちが着ている洋服からも毎日洗濯を通して海洋汚染へ少なからず影響していると推測できます。

洋服と石油資源

 洗う時だけでなく、洋服を生産する段階でも環境と密接な関係があります。

 化学繊維の原料の多くは石油です。
 最近環境を配慮して有料化が具体化されたビニール袋も、数多くの便利なプラスチック製品も、多くが石油を原料としています。

 ーこの石油も私たちの住む地球の大切な資源の1つです。

 だからと言ってみんなが裸で生活するわけにはいきませんし、コストや利便性に優れた化学繊維のお洋服をゼロにすることもできません。便利なプラスチック製品を今さら排除することもできません。

 ですが1つ言えるのは、ただ洋服を買って着るだけではなくてこうしたファクターを頭の片隅に覚えておくことが大切なのではないでしょうか。

 洋服のことから始まり、私生活でのゴミの分別やリサイクルなど環境保護に関わる行動が少しでも広く派生していくことが重要なのではないでしょうか。

Lavca.mの今後の取り組み

まだまだ「環境配慮型」と言う大きなのぼりを立てられるまでには至っておりませんが、今後も常に環境や資源のことを念頭に置いて商品開発を進めてまいります。


また、コットンなどの天然繊維は肌触りや質感も良く、耐久性も優れお洋服の素材としてとても優れていますから、大人用からお子様まで安心して着ていただける商品としてメインで使用していかれればと思います。
また、Lavca.mでは赤ちゃん用のお洋服やスタイなども今後展開していく予定ですので、こちらも化学繊維を極力使わずに天然繊維をメインに展開していく予定です。(現在製作中のスタイはオーガニックコットンを生地から選び、国内で縫製・加工しております)

先々には、洗濯してもマイクロプラスティックの流出がかなり抑えられる繊維を使用したパーカーやフリースなどをリリースして行きたいとも考えております。

環境問題や地球資源などの分野を語るにはまだまだ私自身の知識量も足りませんし、それぞれの研究や学説によって様々な見解・意見に分かれている分野です。

しかし、海の生き物をクローズアップしてお洋服を作らせていただいている以上、微力ながらでも私にできることは何か、お客様、そして海の生き物たちのことを考えながらお仕事をして行きたいと考えております。

今後とも、深海魚ファッションブランドLavca.mを応援いただけましたら幸いです。